2012年5月3日木曜日

コンサート情報:シリーズ“調”の秘密〈第2回〉~壮麗で輝かしい響き・変ロ長調~

寺田悦子 ピアノ・リサイタル
シリーズ“調”の秘密〈第2回〉
~壮麗で輝かしい響き・変ロ長調~
2012年 10月18日(木)
於:紀尾井ホール 19時開演



~Program~
モーツァルト:ソナタ第17番 変ロ長調K.570
Mozart : Sonate für Klavier Nr.17 B-Dur K.570

シューマン:フモレスケ 変ロ長調op.20
Schumann : Humoreske für Klavier B-Dur Op.20

シューベルト:ソナタ第21番 変ロ長調D.960 (遺作)
Schubert : Sonate für Klavier Nr.21 B-Dur D.960



※コンサートの詳細は、ジャパン・アーツの公式ページでご確認ください。



磨き抜かれたハーモニー、寺田悦子の音楽の神髄

 たった1人で多種多様のハーモニー(和声)を生み出せるのは、ピアニストとオルガニストだけ。言い換えれば、それこそが鍵盤楽器奏者に与えられた特権である。その事に着目した寺田悦子が取り組んでいるのが、「調の秘密」シリーズだ。ちょっと専門的なこのテーマについて、ご本人はこう語る。
   「私は10代からヨーロッパで音楽教育を受けたせいか、和声や調性に対するイメージがとても強くて、どの曲を演奏するにも和声の裏付けが無くては、作曲家が思い描いた世界を表現出来ないと思っています。同様に、どんなに美しいメロディーでも和声とのバランスを考えなくては、曲の持つ色彩感が失われてしまいます。とは言え、ピアニストにとってこの作業は簡単ではなく、日々調整を重ねながら作曲家が求めている響きを五感に叩き込む事の繰り返しです」「こうして出会う24の調にもそれぞれ強い思い入れがありますが、先ずは一晩を同じ調でまとめたシリーズを開きたいと思いました。毎回の核にあるのは、シューベルトが死の年に書いた円熟の極みにある3作のソナタで、それに他の作曲家の同じ調の曲を組み合わせました。同じ調で書いても作曲家の個性の違いが如実に現れるので、聴く方にも楽しんで頂けるのではないでしょうか」
   常に魅力的なテーマでリサイタル・シリーズを組んで来た寺田にとって、「調の秘密」はとりわけ内容の濃い、音楽の基本に立ち戻ったものである。その一方で、ナイーブさと繊細さと明るさを併せ持つアーティストである彼女は、「子供の時から♭2つの曲(変ロ長調)が大好きだったのよ」とも明かす。調性に対する愛着や鋭敏な感覚は、クラシック音楽の演奏の要である事を、このシリーズは強く伝えてくる。


ひのまどか(音楽作家)