2012年3月12日月曜日

「春の祭典」とラフマニノフのレコーディングでこの数週間中断ししていた3月22日の紀尾井ホールのソロリサイタルの準備に戻りました。

今回のリサイタルは曲の調性を統一したシリーズ「調の秘密」の第1回目、イ長調です。
モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトのイ長調のソナタ三曲ですが、ソナタ様式で書かれた
ウィーン古典派のソナタでもこんなに違うなんて。。。。

モーツァルトはあの有名な「トルコ行進曲付」ソナタですが、第1楽章はモーツァルトが得意としたテーマと変奏曲、2楽章はイ長調のメヌエット、3楽章が行進曲という変則的なソナタです。
全体に優美で装飾に満ちた、いわばギャラントでモーツァルトの即興的遊び心に満ちた曲。
あまりにも有名で誰でも知っている曲ですが、この曲のポイントは全楽章がイ長調であること。
それ故に演奏が難しいといつも感じています。(トルコ行進曲はイ短調で始まるものの最後はイ長調で終わります)ああモーツァルトはなぜイ長調にこんなにもこだわったのでしょう?
ソナタ形式の「お約束事」に全く反したソナタと言えます。


ベートーヴェンの作品101のソナタ28番は、ベートーヴェンのいわゆる「後期のソナタ」と呼ばれているソナタの最初の曲ですが、この曲でベートーヴェンは大きな変貌を遂げました。
大胆、かつ革新的な発想に満ちたソナタです。



幻想的な第1楽章はドミナントで始まりイ長調の主和音はなかなか出現しないので、調性が確定しない感じがします。続く第2楽章はイ長調とは遠いと思われるへ長調の明るいマーチ。そして心の底に奥深く沈んでいくような想いの第3楽章はこの曲のいわばおへそのような存在。ここからが私の一番好きな部分です。

          自筆譜 1楽章のテーマが出現する4楽章への導入部

ベートーヴェンはこの短い第3楽章から第4楽章への導入に第一楽章のあの幻想的な出だしのテーマを出現させます。
ベートーヴェンは作品27の1の変ホ長調のソナタですでに循環形式を使っていますが、その後のロマン派作曲家に大きな影響を与えたものですね。

そして爆発的で躍動感に満ちたこれぞイ長調という第4楽章!その中間部にフーガが登場するのです。ソナタの楽章内にフーガを用いたのはベートーヴェンのその後に続く後期のソナタの特徴ですが、これも全く新しい試みです。
この作品101のソナタは全体が1つになったような楽章の切れ目があまり定かでないのが特徴ですが、決して永くはない曲なのに音楽が凝縮していて演奏にはとても集中力が必要です。。。!
20代の初めにウィーンのアカデミーの卒業演奏で弾いて以来何度か時を置きながら弾いてきた曲ですが、今回数年ぶりに弾いてみてあらためてこの曲の凄さ!に圧倒されます。


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