2012年2月6日月曜日

コンサート情報:シリーズ“調”の秘密〈第1回〉~優しくて朗らかな春の響き・イ長調~

寺田悦子 ピアノ・リサイタル
シリーズ“調”の秘密〈第1回〉
~優しくて朗らかな春の響き・イ長調~


2012年 3月22日(水)
於:紀尾井ホール 19時開演



~Program~
モーツァルト:ソナタ 第11番 イ長調 「トルコ行進曲付」 K.331
Mozart : Sonate für Klavier Nr.11 A-Dur K.331

ベートーヴェン:ソナタ 第28番 イ長調 Op.101
Beethoven : Sonate für Klavier Nr.28 A-Dur Op.101

シューベルト:ソナタ 第20番 イ長調 D959 遺作
Schubert : Sonate für Klavier Nr.20 A-Dur D959



※コンサートの詳細は、ジャパン・アーツの公式ページでご確認ください。



スポニチANNEX 第191回クラシック・コンシェルジェで紹介されました。



曲を作ろう! どの調で? それが問題だ!! 

作曲家が曲を書くとき、何調で書くかは重要な問題です。それによって音楽の性格が決まってしまうからです。また、楽器によって得手(とくい)とする調があり、選び方によってはとても難しくなってしまう場合もあるのです。万能であるはずのピアノにしても、弾き易い調と弾き難い調があるんですよ。
調とは何かと言えば、何の音から始まる音階を使うかということです。たとえば“ド”から始まって“ド”で終わる曲と、“ソ”から始まって“ソ”で終わる曲とは、聴いた感じがまったく違いますが、それは個々の音が持っている印象や意味があるからなのです。例えば、“ド”は安定していて大地のよう、“ソ”は生き生きしていて少年のよう、と言えるでしょうか。ですからモーツァルトは、初心者向きの曲はハ長調で、宴会のBGMはト長調で「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」のような名曲を書いたのです。もっとも初心者は、白鍵だけの曲しか弾けないからかもしれませんね。
すると、音楽をよくご存知の方は、調には楽しい“長調”と、悲しい“短調”があるはずだとおっしゃるでしょう。もちろんそのとおりなのですが、それであっても始まりの音の印象は変わりません。“ド”からのハ短調はベートーヴェンが好みましたが、これはどっしりとした深い苦悩を表し、モーツァルトのト短調は若くして死に至る悲しみを描き出しています。こうした調性は、大バッハがその手本を示してから、20世紀初頭まで音楽の王道として用いられ、現在もなお、ポピュラーや環境音楽にまでその考えが及んでいるのです。
寺田悦子さんの今回のリサイタルは、その西洋音楽の基本的な理念である調性に目を向け、“ラ”からのイ長調、“シ♭”からの変ロ長調、“ド”からのハ短調の3回にわたって、シューベルトの遺作のソナタをベースに、毎回異なった音楽の世界を繰り広げます。同じ調性であっても作曲家や時代によってどう違うのか、どう弾き分けるのかも興味を呼ぶ、知的興味をくすぐる話題となることでしょう。


青島広志(作曲家・ピアニスト)